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東京高等裁判所 昭和44年(く)12号 決定 1969年2月28日

少年 S・N(昭二四・四・四生)

主文

原決定を取り消す。

本件を東京家庭裁判所に差し戻す。

理由

本件抗告の理由は、少年作成の抗告申立書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

所論は、要するに、原決定の処分が著しく不当であると主張するに帰する。

よつて、按ずるに、本件記録によると、原決定当時においては、東京においては少年の保護者となるべき者はなく、且少年自身東京における前途の見透し、計画などを全然持つていないのに、少年は釧路の父母の許に帰る意思が全くなかつたものであるが、当裁判所において事実の取調をした結果によると、少年は、原決定後反省の結果親許に帰り更生を図りたいと決意するに至り、その上少年の父母も、昭和四四年一月末日一家を挙げて東京に転居し、定職を得、愛情をもつて少年を保護監督すべくその受入態勢を固めたことが認められ、本件に現われた少年の各非行の性質、動機及び態様、少年の経歴及び性格と併せ考えると、原判示のように少年の父母の保護能力が必ずしも十分であると認め難いものがあるとはいえ、現時点においては原決定当時とは異なり、少年の非行反覆の危険性を制御するに略十分な保護状態が作られたものと考えられるのであり、右諸点を含め本件に現われた少年の処分決定の資料となるべき諸般の情状を総合考察すると、原決定の処分は結局著しく不当であると考えられる。論旨は理由がある。

よつて、本件抗告は理由があるから、少年法第三三条第二項により原決定を取り消し事件を原裁判所に差し戻すこととし、主文のとおり決定する。

(裁判長判事 脇田忠 判事 関重夫 判事 環直弥)

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